筋膜性疼痛症候群(MPS)とトリガーポイント
犬にも筋痛症が起きている?
以前、犬にも筋膜性疼痛症候群が起きるというニュースがありました。
確かに筋肉があるのだから犬でも猫でも起き得るかとも思いますが、そもそも日本では筋膜性疼痛症候群の認知度自体が低く殆ど知られていません。反して、海外では犬にまで筋膜性疼痛症候群やトリガーポイントにケアを行っている事に驚きました。
筋膜性疼痛症候群って?
そもそも、筋膜性疼痛症候群(きんまくせいとうつうしょうこうぐん、MPS)とは筋肉の硬結やトリガーポイント(圧痛点)を伴った、主に筋肉の痛み、時には強い疼痛やしびれなどを起こす、全身すべての筋肉に起きる可能性がある一連の症状です。
機序を簡単に説明すると、
1,筋肉が疲労する
2,疲労した筋肉の血行、代謝が低下
3,そうした筋肉が回復する前に再び筋肉を使う
4,筋肉は固まり(硬結)、血行や代謝も更に悪化
5,押すと周囲にまで痛みやしびれを起こす状態(トリガーポイント)に
6,刺激(血流が悪くなる、圧迫される等)が加わると痛みやしびれが発生
といった流れで筋膜性疼痛症候群になっていきます。
筋疲労や代謝の低下だけではなく、筋肉の損傷なども原因の一つと言われていますし、乳酸に拠るパンプに拠って起こる代謝低下や酸欠状態なども遠因になりそうです。
実は多い筋膜性疼痛症候群
マッサージをすると一時的に回復(数時間~半日)する肩こりや腰痛、腕などの痛みを伴う首の痛み、下肢痛を伴う腰痛・・・
挙げればキリがありませんが、慢性症状と言われるものの中でこの筋膜性疼痛症候群に当て嵌まるケースはとても多くあります。
他にも、
顎関節症、五十肩、緊張型頭痛、テニス肘、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、椎間板症、腰椎すべり症、変形性膝関節症、変形性股関節症、頸肩腕症候群、腱鞘炎、半月板障害などと言われた症状の中にもしばしば筋膜性疼痛症候群が潜んでいます。(MPS研究会のガイドより)
筋筋膜性疼痛症候群とトリガーポイント
更に、MPS研究会のガイドにも書かれているように、しびれや神経痛を伴う症状の中にも筋膜性疼痛症候群が潜んでいる事があります。
トリガーポイントは押すだけで痛みやしびれを引き起こします。
また、何らかの刺激(血流が悪くなる、圧迫される)が加わると疼痛やしびれを引き起こします。
他には放っておく限りは多少の刺激が加わっても痛みの出ないケースもあります。
日常生活では、
・冷え ・座る(臀部の圧迫)
・長時間の同じ姿勢(デスクワークや立ち仕事等)
・反復する動作(マウスクリック等)
などが症状の悪化要因になります。
他の問題と悪化する要因が一緒なので、実際はトリガーポイントが原因で起きている症状でも隠されてしまっている事もあります。
筋膜性疼痛症候群とトリガーポイントのケア
筋膜性疼痛症候群は、基本的に痛みの原因である筋肉の硬結やトリガーポイントをなくす事が重要です。
上記の様に筋肉の硬結やトリガーポイントは血流や代謝が徐々に落ちて固まってしまった状態です。
それらを改善する為には、温める、血流を促す、代謝させることが重要になります。
また、筋肉の代謝を促すために適切なタイミングでの運動やエクササイズも役立ちます。
ある程度まで筋肉の機能が戻ってくると、筋肉は自発的に修復や回復を行います。
休んでも、動かしても痛かった状態から、使えば疲労し、休めば回復するという正常なサイクルに戻る訳です。
「使いすぎ」だけが原因?
筋膜性疼痛症候群やトリガーポイントは、主に筋肉が回復する前に使いすぎることで起きます。
ですが、
・座り方や環境によって臀部への圧迫や負荷に違いはないか?
・立ち仕事をする時の、立ち方や作業環境によって身体のどこかに過剰な負荷をかけていないか?
・マウスを使う時の手首の角度や、マウスを置く位置は適切か?
・反復する運動をする時の身体の使い方は適切か?
といった姿勢や環境による負荷の偏り、運動時の身体の使い方なども考慮すべき点です。
結局のところ、オーバーユースとレストのバランスが予防する上で大事にはなりますが、更に、姿勢や環境、身体の使い方なども含めて原因を探り出す必要があります。
ゴルフスイングを変えて練習したら・・・といった原因、引き金がかなり多く、そもそもの身体のコンディションを整えないとかなりの確率で再発してしまうので・・・。
2012年の記事を加筆、修正しました。
参考:MPS研究会