症状
30代 女性 デスクワーカー
慢性的な首肩コリと肩甲骨の間付近のコリを訴えて来院。
ここ十年くらいはずっと変わらずに症状があり、仕事の忙しさと労働時間に比例して悪化する。ここ一年は在宅ワークが増えたが、症状が楽になった感じはしない。学生時代には同様の症状はそれほど感じていなかった。
腕のだるさ(特に左)、月に2~3回の頭痛があり、両者とも仕事量や首肩コリや背中のコリが悪化すると起こる気がしている。
分析
可動域検査や動きによる痛み、症状の再現はないが、頸部から肩甲間部の筋群は緊張し、圧痛があった。また、頸部の可動域は制限があり、肩甲骨もあまり動かない。
施術
主に、首、肩、背部と緊張している筋群と関節の機能異常にアプローチ。
初回の施術後には可動域が7割程度回復し、4回目の施術後には可動域の問題はなくなった。自覚的には、普段の首肩コリや背中のコリも7~8割ほど軽減した。
今回は典型的なデスクワーク+姿勢不良からくるケースです。
PCを使うデスクワーク環境において、
・あまり動かかない=筋肉が伸び縮みしない
・視線が固定される
といった構造的、運動学的負荷に加えて、
・指先だけはたくさん動く=反復性の運動による疲労
などが加わり、頸部からの神経症状とは別に腕のだるさや手首の症状を伴うものです。以前から指摘されていたマウス症候群なども加えると、PCを使ったデスクワークに於いて、この症状は職業病的な側面があるかと思います。
近年、スタンディングデスクやバランスボールの導入、オフィスチェアの進化などに寄るオフィス環境の改善、エクササイズやフィットネス人口の増加に伴ったデスクワーカー本人の生活環境改善などによって総数や重度の変化は見られるかもしれませんが、まだまだ無くなるところまでは行きません。
根本的にデバイス自体が変化するほうが望ましい気もするのですが、キーボードより優れた入力デバイスが普及しないのと同様にマウスもまだまだ現役です。
いまのところ、肩こりやデスクワーク起因のあらゆる症状を抱える人とっては、適度な運動、構造的に良い姿勢、定期的な身体のメンテナンスの三本柱が最も有効な対応策なのかと思います。