症状

バレエで右軸のアティチュード時に左の股関節に痛みが走り、その後徐々に左のターンアウト(アンデオール)が出来なくなった。股関節の痛みは一時的に収まったが、今でもプリエ、グランプリエをすると左膝が前に出てしまう。また、無理に股関節を外旋(ターンアウト)すると痛みが出ることがある。

分析

初回の検査では、仰向けに寝た状態でも左股関節の外旋の可動域に問題があった。
加えて、グランプリエをすると左の膝が前方に5~6cm前に出てしまう状態だった。左の殿筋、腸腰筋に緊張があり、ハムストリングにも緊張が見られた。また、左の殿筋は股関節を維持することが出来ず、左軸で立つと股関節を中心に外に重心が崩れていた。

施術

施術は殿筋、腸腰筋、ハムストリングの緊張を緩め、筋膜の癒着に対してはグラストンテクニックを行った。合わせて、骨盤の機能を調整し、殿筋が股関節を維持できるようにアプローチ。一回目の施術後には7割程度の可動域が回復した。2回目の施術後には8~9割の可動域まで回復した。その後、さらなる可動域の改善と維持の為にターンアウト(アンデオール)用のトレーニングをやりつつ施術を続け、施術開始から凡そ6週間後には再発も無く、踊り続けられる状態に回復した。

今回のケースは外傷に起因するものですが、基本的に左右どちらかの股関節がターンアウトし難いというダンサーは多く居ます。これは身体のクセや利き足(または軸足)等によっても起きますし、「歪み」が原因になることもあります。
左右の脚で、
・軸足の得手不得手が有る(グラグラする脚がある)
・ターンアウトの得手不得手が有る
で、両方が苦手な脚が同じ側だった場合(例:左股関節がターンアウトし難く、軸足でもグラつく)は膝や足首の問題も併発しやすい傾向にあります。また、過去の怪我やそれによる筋膜の癒着、関節の安定性が失われた状態になると更に問題は深刻化しやすい傾向にあります。
特に、関節の安定性に関しては、関節の固有受容器と呼ばれるセンサーが働かなくなってしまうと、トレーニングやレッスンをやっても回復はしません。
理由としては、センサーが働かないと本来動かすべき筋肉が働かずに、かばう動きや違う筋肉を使ってしまうからです。
こうした場合、トレーニングやレッスンをやればやるだけ問題は複雑化するだけで、却って回復を遅らせることになります。

・ターンアウト(アンデオール)が出来ない、股関節が硬い
・肩や肩甲骨の動きに問題が有る、硬い
・足首が動かない、硬い
・その他、関節の可動域に問題が有る
これは、バレエダンサーやダンス、パフォーマーに多く見られる症状ですが、
1,まず、可動域を広げて
2,次に、リハビリやトレーニングで正しい筋肉の使い方を覚え
3,レッスンやトレーニング

という流れに沿って戻して行かないと再発性が高く、レッスンやトレーニングが十分にできなくなります。