ゴルフ肩「スイングショルダー」は、とても多い症状です
私が2007年に提唱した、ゴルフ肩「スイングショルダー」は、変わらず増加の傾向にあります。
時間が経っても痛みや痺れ、ダルさが減少しない
練習後や翌朝に左肩が上がらなくなる
指先まで痺れが出る
翌日に寝違えのように首肩に痛みが出る
など、痛みが強い、休んでも緩和しないなど重症化してから来院される方が多いです。


「スイングショルダー」の主な症状
ゴルフの練習後やプレー後に上の図の様なポイントに出る痛み、ダルさ、痺れ等の症状があり、初期は数日放置すると緩和しますが、再び練習やプレー後には同じ症状が再発します。
それを繰り返して悪化していきます。
「スイングショルダー」とは何か?
ゴルフ肩「スイングショルダー」はスイング、特にテークバックに起因するトラブルです。 右打ちの場合で順番に説明すると、
1,スイングの始動
徐々に左の肩甲骨が前に巻き込まれるのと同時に左胸の前側の筋肉が収縮する
2,始動からトップ
左の肩甲骨周囲の筋肉がストレッチ(伸張)され、同時に胸の前側の筋肉はより過緊張する。この時に大切なのは、関節がロックし安定していること。
3,トップからインパクト
胸の前側の筋肉は切り返し時に瞬間的に強烈に収縮し、それと同時に肩甲骨の筋肉はよりストレッチ(伸張)された状態になり、そこから収縮(短縮)しなくてはいけない。関節がロックしていないと、より筋肉、関節に負荷をかける。
4,インパクトからフォロー
肩甲骨の筋肉がうまく働かない状態、関節が不安定な状態で更に収縮(短縮)
スイングショルダーの場合は上記の要素が原因です。2のタイミングでテークバック時に左肩を強く押し込もうとすると、左の肩甲骨や肩についている筋肉(菱形筋・広背筋・大円筋など)がさらにストレッチされます。また、関節がアンロックになります。そこから3の局面に移行すると、過度なストレッチがかかった筋肉が急速に収縮しはじめます。
「ストレッチ状態から急速に収縮」という大きな負荷が筋肉に負荷をかけるのと同時に、アンロックの状態なので関節へも大きなダメージを与えます。こうしてスイングショルダーは引き起こされます。何故、スイングショルダーは増えているのでしょうか?
原因は、フォーム? 身体が硬いから?
スイングショルダーを訴える患者さんはスイングフォームを変えてから痛みを感じる方が多く、身体が硬いからというよりは、身体を無理に使おうとしてスイングショルダーになっている事が多い様です。特に、スイングプレーンを大きくする為や飛距離を意識することでテイクバックを大きく取ろうという意識の高まりがスイングショルダーのリスクを高めています。つまり、多くのケースで『フォームに身体を合わせようとする』ことがスイングショルダーの原因になっているのです。
それでもゴルファーの方々にとっては、スイングプレーンを大きくすること、スイングフォームを調整すること、飛距離を伸ばすこと、、、ゴルフ上達の為のトレーニングは無くてはならないものです。では、ケガなく身体を上手に使うには一体どうしたらいいのでしょう?
スイングショルダー予防の為に今日から出来る3つの事
1,手首の力を抜く
手首・グリップの力みはスイングプレーンを小さくします。
小さくなったスイングプレーンを補う為に肩や首の筋肉のトラブルも増加します。
2,トップの位置は左手で押し込まない
トップの位置を高くする為に左手で押し込む(右打ちの場合)と、肩や首の筋肉へ負荷は格段に増加してしまいます。
3,プレー後には大胸筋のストレッチ
以前の記事にはストレッチは厳禁と書いてありますが、プレー後に大胸筋のストレッチはしっかり行って下さい。スイングショルダーの場合、大胸筋は収縮し緊張しているケースが殆どです。
ケガをせずにゴルフを楽しむ為にも上の三つのことを心がけてください。
スイングショルダー(ゴルフ肩)チェック
・プレー後に肩甲骨の内側に痛みを感じる
・プレー後に首周辺が重くなったり痛んだりする
・利き手と逆の肩が下がっている(右打ちなら左肩 左打ちなら右肩)
・肩から腕にかけての痛みや痺れを感じる
・ゴルフ肘(ゴルファーズエルボー)や腱鞘炎の経験がある
・股関節が硬く腰が回転しない
・猫背や肩の可動域が狭く感じることがある
上記のような特徴に当てはまる方は既にスイングショルダーの症状が出ているか要注意の状態です。