3月から4月にかけての季節替わりの時期は、何故かぎっくり腰の患者さんが多くお見えになります。
この時期は勝手に、ぎっくり腰の危険月間だと思っていますが、3月、4月にぎっくり腰が頻発する理由は定かでは有りません。
考えられる理由としては、
・季節替わりで自律神経のバランスが崩れる
・引越し、転勤、就職、入学など環境が変わる時期での疲労
・花粉症でくしゃみのしすぎで・・・
など、決定的な理由は見当たりませんが、経験的には普段の数倍はぎっくり腰の患者さんが来院している様に思います。
そんな中、ちょっとだけ興味深いニュースを見つけました。
ニュースは此方
2012年に発表された英語の記事なのでちょっと古いですが、
要約すると、
アメリカの脳神経外科学会の発表によると「背骨の矯正は他の療法(運動療法や非ステロイド系抗炎症剤)と比較して、急性腰痛症に対して特に有効というわけでは無い」という発表です。
リンク先を読んでみても解り難いので更に掻い摘んで書くと、
・アメリカではぎっくり腰の治療にカイロプラクティックも保険適用されている
・ところが、実際は他の療法と比較してもカイロプラクティックの背骨の矯正が優れてるなんて事はない
という感じです。
これを持って「カイロプラクティックはぎっくり腰には効果か無い!」という話にはならないのですが、カイロプラクティック発祥の地でこんな発表がなされた事に非常に驚きました。
背骨の矯正は何のために有る?
そもそも、カイロプラクティックで背骨の矯正を行う理由は、単純に「背骨に潜む不正常な状態(※)を、本来の状態に戻す」為にあります。
それは背骨に潜む不正常な状態が、正常な身体活動を阻害し、それが原因で身体に様々な問題が出ると考えるからです。
※=しばしばズレていると表現されている状態。今回は便宜的に「ズレている」という表現を使用します。
今回の話に照らしてみれば、
我々は「○○番目の骨がズレている=ぎっくり腰」という風には考えていません。
ですので、実際のカイロプラクティック的に強いてズレているという表現を混ぜ込めば、
「○○番目の骨がズレた後に、色々が巡り巡って・・・結果としてぎっくり腰になる」という感じです。
ぎっくり腰、急性腰痛症って何だ?
さて、そもそも、ぎっくり腰ってなんでしょう?
あまり議論される事ではないのかもしれませんが、
急性腰痛症=慢性ではない、急性の腰の痛み=ぎっくり腰
だとすればちょっと乱暴なネーミングの様に感じます。
理由は単純で、ぎっくり腰にも色々なパターンがあるからです。
椎間板、背骨、骨盤、外傷や捻挫・・・直接的な原因だけでも多種多様です。
少なくともぎっくり腰でお見えになる患者さんに対して全て同じケアを行うということは有りません。
ですので、
「ぎっくり腰=背骨の矯正!」
・・・と全てのカイロプラクターが考える訳ではありません。
ぎっくり腰の痛みを緩和するにあたって、飽くまでも背骨の矯正は一手段です。
では、ぎっくり腰はカイロプラクティックでどうするのか?という話ですが、
基本的な流れとして、
1,状態のチェックと把握
2,最適なケアの選択
という感じです。
当院で最も多いパターンのぎっくり腰だと、
・1~2回のケアで痛みを8割程度軽減
・1週間以内で日常生活への支障なし
というのが目安で、殆どの患者さんに経過予測としてそう伝えています。
(ぎっくり腰で来院する方の8割くらいはこのパターンという印象です。)
結局カイロプラクティックはぎっくり腰に効くのか?
他の療法と比較することが困難なので何とも言えないところもありますが、
「来院時には歩けなかった患者さんが、一回の治療で歩けるように!」
といったミラクルな感じも、条件さえ整っていればそれほど珍しいことでもないのに・・・というのが個人的な感想です。
少なくともぎっくり腰を定義せずにケアの効果を比較するよりも、どんな種類のぎっくり腰があって、その人にはどのケアが最適か・・・を議論し、ガイドラインを作っていったほうが建設的ではないかと思います。
分類すれば、
・地域性とぎっくり腰の傾向
・気をつけるべき生活習慣やイベント
(地方だとぎっくり腰の原因ナンバーワンは草むしりでしたが、東京だとまず見かけません。)
とかおもしろいことがわかるのに・・・。
個人的には生活スタイルが違うので地域性は大いに関係有るように思います。
東京では殆どアドバイスとして役立たないですが、お庭がある家の方はしゃがみ込んで草むしりをしなくても良いように、膝をついて草むしりをするための膝当て「ソフトニーパッド」を使うと良いですよ!